揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「じゃあ、何悩んでんだよっ?」


今度は、アイツがキレてきた。

何が、『大体何の話か想像がつくけど』だよっ!?


「もういいよ……」


なんか、今更相談って気分じゃないし。


「は?だって、わざわざ話したくてうちに来たんだろっ?マジ意味分かんねぇ」


いや、それ俺のセリフだから……。

危うく、由佳さんの名前出すところだったし。


その時だった。

パタンと、遠くでドアの閉まる音がしたかと思うと。


「克っ、また私のCD勝手に持ってったでしょ!?」


という声と共に、いきなりドアが開けられた。


ドアを開けたのは、由佳さんで。

正面にいる俺と、まともに視線がぶつかった。


「いっけねぇ、返すの忘れてたよっ」


克也は、慌ててコンポの方にCDを探しに行った。


残った俺と由佳さんは、黙ったまま見つめ合っている。

……見つめ合ってるって言ったら、語弊があるかもしれない。


だって由佳さんは、俺の顔を見て困っていたから。


「あ……」


何か声を掛けようと思ったのに、突然すぎてうまい言葉が見つからない。


せっかく、目の前にいるのに。

俺の事を…見てくれてるのに。
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