揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
ちょっとドキドキしながら、フェンスに食い入るように見ていた時だった。


「何か用ですか?」


何かが、急に私の視界を遮ってしまった。


これから、大翔君の守備が見れるところだったのに!


ムカついて顔を上げると。

1人の女の子が、フェンス越しに私の前に仁王立ちをしていた。


「何か用ですか?って訊いてるんですけど」


口調のきつい、ちょっと人を蔑むような感じのある女の子。


6年生…かな?


背格好と顔の感じで、そう思った。


「覗きとかなら、先生呼びますけど?」


あくまでも、上から目線で。

イマドキの小学生って、こんなんなのかな?


「別に、覗きじゃないわよっ。ほ、ほら、弟があそこにいるから、ちょっと見てただけ」


こんな所からこっそり覗いてたら、確かに『覗き』なのかもしれない。

しかも大翔君を見ていただけに、その言葉がやけに胸に刺さってくる。


私は、誤魔化すように慌てて克也を指差した。
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