揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「ごめん……」


とりあえず、そう謝った。


「っていうか、私も聞いてないんだけどっ」


沙希も、初耳だといわんばかりに驚いていた。


そういえば、沙希にも言ってないや……。


「ごめんね。とりあえず、そういう事だから」


顔の前に手を合わせ、彼女にそう謝った。

頬っぺたを膨らませていた沙希だったけど、次の瞬間には笑顔に変わっていて。


「やっと由佳に彼氏ができたかっ。ホント、おめでとーっ」


そう言って、私の頭を撫でてくれた。


「あ、ありがとっ」


「ホントに…いいんだな?真吾で」


そんな私達のやり取りを見ていた諒斗は。

怖い顔をしたまま、そう尋ねてきた。


「うん、いいよ……」


諒斗の言いたい事は、なんとなく分かる。


私が、好きな人がいるって言ったから。

その人を諦めて、高崎君にしろって諒斗が言ったから。


だから…ホントにいいのか確認したかったんだと思う。


「……なら、別にいいけど」


そして、諒斗は席に着いた。

それからは何も言ってこない。


すぐに報告しなかったから、怒ってるのかなぁ?


機嫌の悪そうな諒斗には、あんまり関わらないように。

この日私は、沙希とばかり話をしていた。
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