揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
放課後。


帰り支度をしていたら、教室の入口辺りが何やらざわざわしていた。


何だろう……?


そう思っていると、


「由佳っ、彼氏の登場だよ」


と、沙希が私の肩をポンポンっと叩いてきた。


見ると、そこにいたのは確かに高崎君で。

うちのクラスの女子に、すっかり周りを囲まれていた。


「なんか、『彼氏』って言葉慣れないんだけど……」


どうにも、照れくさくて恥ずかしい。


「そのうち、慣れるって。でも、ホント人気あるねぇ彼は」


人込みから何かを咒している様子の高崎君は。

私の姿を見つけると、軽く手を振ってきた。


わ、私……?


とりあえず、小さく振り返してみる。

すると、かなりな視線の矢が私に突き刺さってきて。


い、痛いんですけど……。


「みんな知らないんだよ、あんた達がつき合ってんの」


視線を感じてるのか、沙希はそう言った。


まぁ、沙希や諒斗にすら言ってなかったしね。

そう思ってちらっと隣の席を見ると、もう諒斗の姿は無かった。


相変わらず、部活命の奴だ。


「吉野さん、ちょっといい?」


ふいに声を掛けられ。

見ると、すぐそばに高崎君の姿があった。


「あ、うん」


更に痛い視線を感じつつ、私はそう頷き返す。


荷物を持ち、私と高崎君は教室を出る事にした。
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