揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「いいよ」


「……え?」


「行ってもいいよ、吉野さん家」


「えー!?」


あれから高崎君と待ち合わせて向かったのが、前に諒斗と3人で来たショッピングモール。

その中を歩きながら、何気にお母さんの話をした答えがさっきのだった。


「……何で?行ったらまずい?」


「ううんっ、そういう事じゃなくてっ」


来づらいんじゃないかと思って……。

私は、そう言葉を続けた。


「そりゃ、緊張するけどさ。でも、ちゃんと挨拶しときたいし」


「高崎君……」


「そうそう、その『高崎君』ってのそろそろやめない?」


「えっ?」


彼はやっぱりできた人だなぁ、なんて思ってたら。

予想外の展開に、ちょっと焦ってしまった。


だって、『高崎君』がダメなら……。


「『真吾』でいいよ。諒斗みたいにさ」


やっぱり、そうなるよね……。


諒斗を呼び捨てにするのは、沙希の影響だし。

気持ちの整理がついてるから、別にいいんだけど。


高崎君の場合は、また違うよぉ。


「なんか、照れるよ」


「大丈夫、そのうち慣れるよ。それに……」


笑いながらそう言っていた彼は。

急に真顔になって、私を真っ直ぐに捕えてくる。


「吉野さんが呼んでくれないと、俺が『由佳』って呼べないじゃん」


そう言って微笑む姿に、なんだかキュンっとしてしまっていた。


諒斗に呼ばれるのとは、全然違う。

やっぱり私…高崎君の事が好きなんだ。


ちゃんと、好きになってるんだよ。
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