揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「お姉ちゃんの、一生に一度の頼みっ。お願い、克っ」


顔の前に手を合わせ、そうお願いする。

『一生に一度』ってセリフを今まで何度も使ってたけれど、今回はホントにホント。


この頼みをきいてくれれば、もう克也に何もお願いできなくてもいい。


「……で?頼みって何?」


諦めたように、克也はそう言ってくれた。


「……いいの?」


「まぁ、内容によりけりだけど。何か今回の姉ちゃん、ちょっとマジっぽいし」


マンガをパタンと閉じて、ベッドの上に座り直す。


あぁ、いい弟を持って私は幸せだよっ!


「あの…ね。ちょっと連絡を取りたいんだ」


「連絡?誰と?」


「ひ…ろとくん」


勇気がなくて、イマイチ小さい声になってしまう。

なのに、克ときたら……。


「え?聞こえないけどっ」


って、この耳つんぼ!

それとも、わざと言わせてるのっ?


「……大翔…くん……」


さっきよりは大きめの声。

これはさすがに聞こえたようで。


「?大翔?何で?」


そうだよね。

何で?って、知りたいよね……。


「連絡、取りたいから……」


「いや、だから何で大翔と連絡取りたいの?」


訊くか……。

それを訊いてしまうのか?弟よ。


お姉ちゃんに、この言葉を言わせるのか。


「告りたいから……」


「は?」


ま、まだ言わせるのっ!?


「だから、告りたいからっ」


「……?誰が、誰に?」


だんだん腹が立ってくる。

人がこれだけ勇気振り絞って言ってんのにっ。


鈍感なフリして、絶対Sだろ?お前っっ。
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