揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤

chapter18

翌日。


克也との約束の1時に、アイツの家の前に着いていた。


由佳さんと会うかもしれない……。


そう思うだけで、なんだか緊張してきて。

インターホンの前で何度も呼吸を整える。


とりあえず、押すか。

そう決心して、インターホンのボタンを押した。


「……」


いつもならすぐに克也が応対するけれど、インターホンの受話器を上げられる気配がなかった。


留守…じゃないよな?


確かに、アイツは1時に来いと言った。

間違えてはないはずだけど。


もう一度押そうとした、その時だった。


ガチャ

玄関から音がして、ゆっくりとドアが開き。


「あっ……」


そのドアの陰から現れたのは…由佳さんだった。


「と、とりあえず入って?」


俺と話したくないのか、そう言った彼女の口調はちょっとぎこちなくて。


会えて嬉しい反面。

引きつった顔の彼女を見ていると、会わない方が良かったのかもと思ってしまう。


「どうぞ……」


顔の強張っている彼女に促され、とりあえず玄関に足を踏み入れた。


後ろで、彼女によってドアが閉められ。

鍵も掛けられた。


「克也と…約束してて。アイツ、部屋ですか?」


なるべく顔を見ないように、そう尋ねた。

俺と会いたくなかったような顔をされたら…きっと立ち直れなくなる。


「克也は…お母さんと出かけてるの」


「えっ!?」


俺は、思わず大声を上げてしまった。

だって、アイツが1時に来いって……。


「私が、克也に頼んだの」


「……?」


「大翔君と…話がしたかったから」
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