揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
俺は、ゆっくりと由佳さんに顔を向けた。

真っ直ぐに俺を見ている彼女の瞳に、思わず吸い込まれそうになる。


俺と話がしたかった?

だから、克也に頼んだ?


どういう事か、よく分からない。


「とりあえず、上がって?」


そして、彼女に案内されて2階に上がった。

いつも来る克也の部屋の、隣の部屋。


「どうぞ」


その由佳さんの部屋に入るように促され。


「どうも……」


照れくささから、そんな風にしか言えなかった。


一歩足を踏み入れたその部屋は。

いかにも女の子らしいといった感じで、なんだか微笑ましい。


ピンクのカーテンと、同じくピンクのベッドカバー。

所々に飾られたぬいぐるみや小物達。


梨香の方が大人っぽい部屋だな、と思わず比べてしまう。

でも、由佳さんらしくて俺は好きだ。


「えっと、適当に座ってて?何か飲み物持ってくるから」


「別に、構わないでいいですよ」


慌てて声を掛けたけど、


「ううん、私が飲みたいし。座っててね?」


そう言って、彼女はろくに俺の顔を見ずに部屋を出て行ってしまった。


話って何だろう……?


そう考えながら、ガラステーブルの前に腰を下ろした。

部屋に入れたのは思いがけず嬉しかったけど、何の話かと考えると…気分が一気に重くなる。


昨日の事…だよな?


ショッピングモールで会った時の事。


俺との仲を彼氏に誤解されたとか?

だから、彼氏にちゃんと説明して欲しいって事?


……それなら、納得がいく。
< 149 / 298 >

この作品をシェア

pagetop