揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「昨日の事もあるし、着信拒否されても仕方ないと思う。だけど、ごめんね。気持ちだけ伝えたかったんだ……」


そう言う彼女の声は、少し震えているようだった。

俺を見てくる瞳が潤んでいるのも、はっきりと分かる。


「ちょっ、ちょっと待って。着信拒否?」


何の話だか分からない。

着信拒否って言ったら、携帯の事?


「うん……。昨日、ホントは電話で伝えようと思ったの。だけど、繋がらなくて……」


涙が零れそうで、零れない。

由佳さんをそんな状態に追いやったのは、俺なのか?


「携帯の事は…ごめんなさい。たぶん、やったのは母さんだから」


電話帳から由佳さんの名前と番号を消す際に、着信拒否設定をしておいたんだろう。

そこまでは、気が付かなかった。


っていうか、そんな事より……。


「なんか誤解してるみたいだけど、俺は由佳さんの事…好きだから」


とうとう、打ち明けてしまった想い。

ちゃんと伝わっただろうか?


「え……?」


俺のいきなりな言葉に、戸惑っている彼女がいる。


そりゃそうだ。

俺だって、戸惑ってるんだから。


彼女の言ってる『好き』と、俺の言っている『好き』が一緒かどうか分からないし。


「由佳さんの事、好きですよ」


もう一度、繰り返す。

想いがきちんと届くように。


「……克也のお姉ちゃんだから?」


訝しがるような目。


やっぱり、ちゃんと伝わってない……。
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