揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
涙目で上目づかいに俺の事を見てくる彼女に、ゆっくりと体を近づけていく。


座ったまま向かい合っている2人の、距離を縮めるように。

心の距離を…縮めたいんだ。


「克也の姉さんとか、そんなの関係ないですよ」


真っ直ぐに彼女の目を見る。

今の俺には、彼氏の存在や梨香の存在なんてどうでもよかった。


ここには、俺と由佳さんしかいないんだから。

もう、この想いは止められない。


俺は、とっさに彼女を抱きしめていた。


「なっ……?」


由佳さんの驚いた声が聞こえた気がした。

けれど、構わずに抱きしめた腕に力を込める。


「好きなんです、由佳さんの事」


そう、彼女の耳元で囁いた。


「友達の姉さんとして好きなら、こんな事はしないから……」


唇が、耳朶に触れそうなぐらいの距離。

このまま口づけたくなる気持ちを、ぐっと堪える。


「わ、私……」


彼女の声は、上ずっていた。

抱きしめている体に響く彼女の鼓動も、徐々に速くなっていく。


それがまた、愛おしくて。

俺の鼓動も、つられるように速くなる。
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