揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「ダメ…だってばっ」


強く言いたいのに、力が入らない。


その間に、彼の舌はどんどんと下がっていく。

首筋をなぞるように、鎖骨へと場所を変えて。


次の瞬間、左の鎖骨の辺りに軽い痛みが走った。


「由佳が俺のモノだっていう証拠」


そう言って顔を挙げた彼は、笑顔を浮かべていた。

普段のクールな顔立ちからは想像のつかない、かわいらしい笑顔。


そんな顔されたら…抵抗できなくなっちゃうじゃない。


「キス…マーク?」


前に、沙希が付けていた事があった。

バイト先の大学生の彼とはそういう仲だって言ってたけど、まさか私も付ける事になるなんて。


「彼氏と…ヨリを戻さない為のおまじない」


戻すわけ…ないじゃない。

やっと、好きな人とつき合えるようになったんだから。


でも……。


「……エロ」


なんて、憎まれ口をつい言ってしまったりして。

でも、エロはエロだもんっ。


「こんなんでエロって言ってたら、これから先はどうするんですか?」


「これから先って……?」


「……もっとヤラシイ事シたら、俺は何て呼ばれるんですか?」


もっと先って言う事は……。

あんな事やそんな事をするって事だよね?


「……」


「……?」


「……エロ魔人」


「えっ!?エロ魔人って……。由佳さん、面白すぎっ」


そう言って吹き出すように笑う彼は、本当に愛らしいと思う。


別に、大翔君とそういう関係になるのが嫌な訳じゃない。

ただ、私はまだお子ちゃまだから……。


心の準備ができてないだけなんだ。
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