揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……?」


何だろうかと、じっと克也の顔を見上げていたら……。


「もしかして、姉ちゃんと大翔って一線越えちゃったとか?」


と、とんでもない質問をぶつけてきた。


「なっ、何言ってんのよっ!?」


一線って、一線って……。


心臓が激しく動き出す。


だって、まさか克也の口から『一線越える』って言葉が出るなんて……。


でも、大翔君があんなエロなわけだから。

克也も、もしかしたら……?


あなどれないわ、イマドキの小6って。


「一応聞いとかないと、俺の心構えも変わってくるじゃん。で?やっぱ、越えちゃったわけ?」


「こ、越えてなんかないわよっっ!」


顔を赤くしながら、私はムキになって否定した。


越えそうになったけど、越えてはないんだからっ!


「ふーん。まぁ、さすがに告ったその日にキスはしないか」


そう言った克也の言葉が、何だか引っ掛かった。


「あ、あのさぁ」


「ん?」


「『一線を越える』って、どういう事か分かってる……?」


ちょっと気になって、訊いてみた。


何か勘違いしてるような気がするんだけど……?


「は?俺ももう小6だぜ?そんな事ぐらい知ってるよっ。その…キスするって事だろっ?」


「……キスしたら、一線を越えちゃうの?」


「あぁっ。そしたら、その2人は大人の関係ってやつだよ」


なぜか、自信満々にそう答えられてしまった。


そういう事ね……。

克也らしいというか、何というか。


結局、うちの弟君はまだまだお子ちゃまらしい。


「まぁいいや。とりあえず、ゲームするからリビング行くわ」


ほんの少し顔を赤くしながら、克也は私の部屋を出て行った。

その後ろ姿を見送り、私はテーブルの上の携帯を手に取った。


克也には報告できたから、次は彼だよね。


画面を開き、電話帳から彼の名前を探した。


『高崎真吾』


その名前で、カーソルを止める。
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