揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
発信ボタンを押すのに、少し緊張した。


大翔君に告ったら、ちゃんと報告するって約束したし。


そう思って携帯を手にしたものの。

結果的にもう一度真吾を振る事になると思うと、なかなか勇気が出ない。


相手にとって良くない電話をかけるのは、こんなに嫌な気分になるものなんだ……。


その時だった。

急に私の携帯から、メール着信を知らせる音楽が鳴り響いた。


「うわっ!」


驚いて、とっさに携帯を放り投げてしまった。


あぁ、びっくりしたぁ……。


激しく脈打つ心臓を服の上から軽く押さえ、深呼吸をする。

もう一度携帯を手にして、誰からのメールかを確認した。


『神崎大翔』


それは、大翔君からだった。


帰り際にお互いのデータを交換したから、アドレスも分かってる。

彼は着信拒否設定を解除してくれて、これからは電話もメールもちゃんとできるようになったんだ。


そういえば……。


ずっと聞き流していた事を、ふと思い出した。


着信拒否を設定したのがお母さんって言ってたよね?

何で私が、お母さんにそんな風にされなくちゃいけないんだろう?


水沢がいるから?

大翔君が私の事を想ってくれてたのを知って、彼女の為にそんな事をしたって言うの?


何だか、よく分からなくて。

とりあえず、彼からのメールをチェックした。


≪今、梨香と話してきたよ。なかなか許してくれなかったけど、別れたい事はちゃんと伝えてきたから。梨香が何を言っても、もう戻る気もないし。俺は由佳とつき合いたいから≫


そう、書かれていた。


水沢が簡単に別れてくれるとも思えないけど。

とりあえず、大翔君はちゃんと気持ちを伝えてくれたわけだから。


次は…私の番だね。


メール画面を消して電話帳に戻すと、私は真吾へと電話を掛けた。
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