揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
トゥルルルル……  トゥルルルル……


出て欲しいような、欲しくないような。

そんな感じで、その音を聞いていた。


そして。


『もしもし、由佳?』


真吾は…出てくれた。

相変わらずの優しい声で、思わず泣きそうになってしまう。


「うん……。今、良かった?」


『いいよ。……もしかして、彼と話した?』


少し、真吾の声が強張っている気がした。


ずっと、気にしてくれてたんだろうか?

私と大翔君が、どう話し合ったかを。


「うん、さっきね。それで……」


『彼も、由佳の事好きだって言ってくれた?』


「えっ?あ、うん」


打ち明けようとした言葉を遮られ、その代わりに真吾が代弁してくれた。


『そっか……。やっぱ、彼も由佳の事好きだったんだな』


その口ぶりが、まるで前から知ってたかのようで。

ちょっと驚いた。


「もしかして、知ってたの?」


『いや、確信はなかったんだよ。ただ、映画館で会った時からそうじゃないかなって思ってたんだ』


映画館で会った時から?

そんな前から、真吾は大翔君の気持ちに気付いてたっていうの?


「そう…なんだ」


もし、その時私も気付いていたら……?

そうしたら、真吾を巻き込まなくて良かったんじゃないの?


そう、思ってしまった。
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