揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
自転車を飛ばして15分。

私は、諒斗の家に着いていた。


覚悟を決めるか……。


軽く深呼吸すると、インターホンに手を伸ばした。

すると、インターホンに出る事なく玄関のドアが開いて。


「おう、入れよ」


出てきたのは、諒斗。

見たところ、そんなに怒ってはないらしい。


「お邪魔します……」


とりあえずそう言って、玄関に入った。


中学の時から沙希や他の子と何回か遊びに来てるから、別に抵抗はない。

まぁ、一人で来るのは初めてだけど。


「ジュース持ってくから、先に部屋行ってて」


言われて、私は玄関横の階段から2階に上がった。

諒斗は、そのまま台所に向かって行く。


諒斗の部屋に来るのは、久しぶりだった。


だけど、机周りや棚の辺りは相変わらずごちゃごちゃしていて。

それが何だか、ほっとさせる。


「懐かしい、これっ」


机の上に置かれた、写真立て。

中学の修学旅行で撮った班の写真が、飾ってある。


「そういや、一緒の班だったっけ」


そこには、私も写っていた。

沙希の姿もある。


この時には、私はもう諒斗を友達として見ていた。

かわいい彼女のいた諒斗は、男女共に友達が多かったんだよね。


それはきっと、諒斗の明るさと気さくさがみんな好きだったから。

それは、今も全然変わってない。


「お待たせ」


麦茶の入ったグラスを2つ、諒斗はお盆に乗せて運んで来た。


「適当に座って」


そう言われたので、とりあえずベッドに腰を下ろした。

諒斗は私にグラスを1つ差し出すと、自分もグラスを手にしてカーペットの上に座った。
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