揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「!?」


諒斗が…濡れたままの手で、私の右手首をつかんできた。

何事かとアイツを見ると、すごく真剣な顔で真っ直ぐに私を見ていて。


「諒斗……?」


何だか…怖かった。


いつもの諒斗じゃない気がして、背筋がゾクッとする。

慌てて手を振りほどこうとしたけれど、強くつかまれていて離れない。


「俺も……?」


「えっ?」


「俺も、あのガキに負けてんのか?」


気がつけば、かなり近くに諒斗の顔があって。

思わずドキッとしながら、少しずつ顔を後ろに離していく。


「負けてるって……?」


何が言いたいのか分からなくて尋ねた瞬間。

諒斗は、いきなり立ち上がった。


腕をつかまれたままの私も、痛くてつられるように立ち上がる。


「なっ、何なの?諒……」


そう声を掛けていると、いきなり…抱きしめられた。


「えっ?ちょっ、りょ、諒斗……?」


「俺よりも、アイツの方が好きなのか?って訊いてんだよっ」


そう言って、私を抱きしめる腕に力を込めてくる。


「え?だって、諒斗は友達だし……」


何と言っていいのか分からず、とりあえずそう答えた時だった。


「……!?」


諒斗に…いきなりキスされていた……。
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