揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「何で…こんな事したの?」


後ろを振り返り、ベッドの上に体を起こしているアイツをぎっと睨んだ。


「お前が好きだからに決まってんだろ?なぁ、あんな奴やめとけよ?」


「……何で、そんな事言われなくちゃいけないの?私と大翔君は両想いなんだよ?邪魔しないでっ」


携帯をぎゅっと握りしめ、そう言い返した。


これから、私達は2人で幸せになるの。


年の差とか、弟の友達とか、そんな事気にしないで。

普通の恋人達みたいに、デートしたりするんだから。


だけど諒斗の一言が、私の心を容赦無く突き落としてくる。


「俺のモノになったのに?」


考えたくなかった問題。

無かった事にしたいのに、現実を突きつけられる。


「無理矢理じゃない……」


決して、同意の上の事じゃない。

諒斗のモノになったつもりなんて、全く無いんだから。


「それでも、俺に抱かれたって事には変わりねぇよ。そんな体になっても、アイツはお前とつき合ってくれるのか?」


諒斗が…初めての相手。


それは、捨て去る事の出来ない現実。


大翔君はどう思うだろうか?

裏切られたって、思うよね……?


「俺がアイツだったら、許さねぇけどな」


そう言って…諒斗はニヤッと笑った。


「諒斗は…片山さんを裏切って平気なの?」


悔しくて、そう訊いてみる。

大切な人を裏切ったのは、決して私だけじゃない。


「紗恵とは、昨日別れたよ」


「えっ?」


「アイツは、気付いてたし。俺が由佳の事好きだっていうの」


私のせいで、2人が別れたって事……?


「……私、諒斗とつき合うつもりはないから」


とりあえず、はっきりとそう告げておいた。

片山さんと別れたとしても、私には関係が無い。
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