揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤

chapter24

もうそろそろ駅に行くか……。


本屋で野球の雑誌を立ち読みしながら、俺は時間を潰していた。


店の時計に目をやると、12時45分。

1時の約束だけど、少し早めに行って彼女が来るのを待っていたかった。


雑誌を棚に戻し、俺はそのまま店を出た。


駅に向かうと言っても、隣の隣がもう駅なわけで。

あっという間に着いてしまった。


「あっちから来るんだよな」


ぼそっと呟いて、俺は本屋とは反対の方を向いた。

由佳さんの家はこっちの方になる。


俺は、彼女が来るであろう方角をじっと眺めていた。

少しでも遠くから彼女の姿を見つけたくて、視線をかなり遠くに向けてみる。


好きな人を待つのがこんなにドキドキするだなんて、初めて知った。


梨香も、こんな気持ちで待ってたのかな……?


ふと、そう考えてしまった。


時間ぎりぎりに行く俺を、アイツはいつも怒ってた。


約束には間にあってるんだから、と俺は言い返していたけど。

逆の立場に立って、初めて分かったよ。


早く、来て欲しいんだよな。


だから、俺は心に誓ったんだ。

絶対に由佳さんを待たせないようにしよう、と。
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