揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「お、お邪魔します……」


「ほら、誰もいないから。気にせず上がって?」


玄関で佇んだままの彼女に、取って来たタオルを差し出し。

俺は、そう声を掛けた。


「あ、ありがと。随分高そうなマンションだね」


中をキョロキョロと見回しながら、タオルを手にした彼女は俺の後をついて来た。


「そう?俺、よく分かんないから」


そのまま、リビングではなくて浴室の方に向かう。


「今、お湯溜めてるから。良かったら、濡れた服そのまま洗濯しちゃって?乾燥までできるから、その間俺のスウェット着てくれればいいし」


お湯は、さっきタオルを取りに来たついでに溜めておいた。

バスタオルを収納棚から1つ取り出し、由佳さんに差し出す。


「何か…申し訳ないよ、お風呂とかって」


遠慮がちに、彼女はそう言った。


だけど、彼女の全身は雨に濡れて冷たくなっているし。

このまま風邪を引かせる方が、俺は申し訳ないよ。


「俺に…体であっためて欲しいの?」


意地悪で言った言葉に、彼女の顔が一瞬で真っ赤に変わる。


「お、お風呂借りるねっっ」


こういう反応がおかしくて、ついいじめたくなってしまう。

梨香やまどかさんと違って、すごく愛おしく感じるんだ。


「じゃあ、とりあえず入ってて。スウェット持って来るから」


洗面所と浴室の間にある洗濯機の使い方を簡単に教え、俺はその場を離れた。

家に彼女がいるというだけで、こんなに心躍るものなのかと驚いてしまう。
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