揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
部屋からスウェットの上下を取って来た俺は、もう一度浴室へと向かった。


脱衣所のカゴにそれを置くと、中からシャワーを使う音が聞こえてきて。

扉の閉められている浴室の方に目をやると、ぼんやりと彼女の裸のシルエットが見えている。


思わず、扉を開けてしまいたくなる衝動に駆られた。


扉を開けて。

一糸纏わぬ彼女の体をこの目に焼き付け、そのまま抱きしめたくなる。


絶対、怒るだろうな……。


彼女の怒り顔を想像し、俺は肩をすくめた。


とりあえず、今は我慢しておこう。


彼女が出たら俺も風呂に入って。

その後に……。


そんな事を考えていた時だった。


「うっ…うぅっ……」


そんな声が、浴室の方から聞こえてきた。


泣いてる……?


確信は無かったけど、そんな気がして。

もう一度声を聞こうとして、全神経をそっちに向けた。


「うぅっ……」


やっぱり、泣いているように思える。

何だか、胸騒ぎがしてきた。


泣いているのは…俺のせい?

それとも、遅れてきた事に関係あるのか?


どっちにしたって、泣いている彼女をそのままにしておきたくなくて。


俺は…思い切って扉を開けた。
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