揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……!?」


高い位置に掛けてあるシャワーを背に当てながら、彼女は両手で顔を覆っていた。


扉の開いた音で驚いた彼女は、手を顔から外してじっとこっちを見ていて。

その目は…何だか赤くなっているような気がした。


「な、何で開けるのっ!?」


我に返った彼女は、慌てて両手で胸と下を覆い隠した。


だけど、今の俺が気にしてるのは彼女の裸じゃなくて。

どうして泣いていたのかっていう事で……。


服のまま、俺は浴室に足を踏み入れた。

突然の俺の行動に焦る彼女は、シャワーをそのままに一歩ずつ俺から遠ざかって行く。


「何で…泣いてるの?」


「えっ?泣いて…ないよ」


彼女の困った顔を見て、俺は確信していた。

やっぱり、泣いてたんだ……。


「俺の…せい?」


「ち、違うよっ」


「じゃあ、何で泣いてるの?遅れて来た事と関係あるの?」


「何にも…ないよ」


そう言って、俺から目を逸らす。

何にもないって顔じゃないくせに……。


「俺の事、信用できない?」


「違う…の」


困ったような、悲しそうな顔。


どうすれば、笑顔になってくれる?


その、一心だった。

思わず、俺は裸の彼女を抱きしめていたんだ。


「ひ、ひろ……」


俺の名前を呼ぼうとしてるのだろうけど。

パニクってしまっている彼女は、うまく言葉を出せていない。


「せっかく、つき合えるようになったんだよ?なのに…何で泣いてるの?」


俺の使っているシャンプーと同じ香りが、彼女の髪から漂う。

それを嗅ぎながら、彼女の柔らかいきれいな白い肌を直に抱きしめていた。


胸の膨らみを俺のシャツ越しに感じつつ、背中に回した腕に力を込める。
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