揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……悪かったな、大翔」


案の定、グランド10周を言い渡された俺達は。

みんながノックを受けている中、2人でグラウンドを走っている。


「声がデカいんだよ、お前は」


いつもながら、呆れてしまう。

イイ奴なんだけど、何かしらやらかしてくれるんだよな。


「でも…聞いてねぇよ、別れたなんて」


「そっか……。まぁ、昨日の話だしな」


とりあえず、克也には話してないらしい。


「でも、つき合いだしたばっかじゃねぇかよ?何で別れたんだよ?」


「俺が聞きたいよ……」


「は?」


「何にも。ほら、あと8周さっさと走るぞ」


俺は、走るペースを少し上げた。

遅れを取った克也も、慌ててついて来る。


実際、どうして別れたのか俺にもよく分からない。

俺が風呂場で襲った事は、直接の原因ではないらしいし。


じゃあ、一体何が原因なんだよ……?


イライラして、走る足に力が入る。

自然とスピードが更に上がっていく。


「もう、ヨリは戻んねぇのかよ?」


後ろから聞こえてくる、克也の声。


「……お前の姉さんに訊いてくれよ」


今の俺には、そう答えるしか出来なかった。


ホントに、俺には分からないんだよ……。
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