揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……!?」


目の前にあった、全身を映してしまうぐらいの大きな鏡。

その中の自分が視界に入り、私は唖然とした。


自分の体に、いつの間にか痣が増えていた。


昨日までは、左の鎖骨の辺りにある大翔君が付けたキスマークだけだった。

なのに、今はあちこちに付いている。


よく見ないと分からないのが多いけれど、きっと諒斗に付けられたんだろう。


「何……?これ」


現実を…突きつけられた気がした。

私は諒斗に抱かれたんだ、と。


こんな体、大翔君には絶対見せられない……。


そう思ったら、自然と涙が零れてきた。


「うっ…うぅっ……」


体の中から、いろいろと込み上げてくる。

悲しさ、悔しさ、恥ずかしさ。


「うぅっ……」


嗚咽まじりの涙は、なかなか止まらない。


泣いてちゃいけない。

こんな泣き顔、大翔君には見せちゃいけないんだ。


私が諒斗に抱かれただなんて、大翔君に知られたら、きっと嫌われる……。


その時だった。


浴室のドアが、いきなり勢いよく開かれてしまったのは……。
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