揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
不意をつかれたのか、彼は床に尻もちをつく感じになり。

ちょうど出しっぱなしになっていたシャワーの下で、手をついた。


「……?」


何が起こったのか分からないといった感じで、彼は私を見上げてくる。

そんな彼を、温かいお湯がシャワー状になって頭から濡らしていく。


だけど彼は、そんな事はお構いなしで。

じっと、私を見ている。


その視線が、私の体中の痣を見ているような気がして。

私の心すらも、見抜いているような気がして。


私は…震えが止まらなかった。


バレてしまう事への恐怖に、体中を覆いつくされていく。

彼と目を合わせるのが怖くて、目を逸らしたまま両手で自分を抱きしめていた。


「……ごめん」


そう言うと、彼はゆっくりと立ち上がり。

こっちに近付いて来るのかと思い、私は反射的に後ずさっていた。


「由佳……」


クールな彼が戸惑っているのが、よく分かる。

悲しそうな顔で見てくる彼の視線が、私にはとてつもなく辛かった。


知られたくない。

私が…あなた以外の男に抱かれてしまっただなんて。


「ごめん、もうしないから……」


そう言って差し出してくれた手を、私が握り返せるわけがない。

うまく言葉にできなくて、とにかく首を横に振り続けた。


これ以上私との距離が縮まらないと悟った彼は、


「ゆっくり、あったまって。リビングで待ってるから……」


そう告げて、びしょ濡れのまま浴室から出て行ってしまった。
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