揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
そんな彼の後ろ姿を、私はただ見送っていた。

浴室からいなくなっても、すりガラス越しに彼の姿を目で追い続けて。


嫌われた…かもしれない。

彼の事を、頑なに拒んでしまったし。


全身で愛されたいと思いながらも、彼に触れられたくなくて。


もし知ってしまったら…彼はどうするだろうか?


自分の事を好きだと打ち明けたのに、他の男に抱かれていたのだと知ったら……。

たとえ不可抗力だったとしても、私に隙が無かったとは言えない。


『由佳の初めて…俺がもらってもいい?』


そう言ってくれた彼に、私はどう答えればいいの?

「初めてじゃないんだよ」って言うの!?


言えるわけ…ないじゃない。

こんな汚れてしまった体、大翔君に抱いてもらう資格なんて無い。


私はゆっくりと、出しっぱなしになっているシャワーへと戻った。

頭からお湯を大量に浴びながら、これからどうしたらいいのかを考える。


痣は、時間が経ったら消えていくのかもしれない。

だけど、私が処女じゃないという事は消えてくれない。


ずっと…隠していくの?

抱かれそうになったら、今日みたいに逃げ続けるの?


そんなの…無理に決まってる。


また、涙が零れ始める。

胸が苦しくて苦しくて、どうにかなってしまいそうで。


嫌われたく…ない。


私が処女じゃないって知ったら、きっと大翔君は私に裏切られたって思うに違いないから。

私の事を…嫌いになってしまうだろう。
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