揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
chapter28
カチャッ
リビングのドアを開けると。
彼はソファに座ったまま、こっちを見ていた。
「お風呂…ありがとう」
さっきと違う服に身を包んでいる彼に声を掛けると、私はゆっくりと大翔君に近付いて行った。
彼の匂いのするスウェット。
これを身に纏う事は、もう二度とない。
彼の匂いを近くで感じる事も、二度とできなくなるから。
だから、ちゃんと覚えておこう。
彼の匂いも、仕草も、声も。
「そこ、掛けて。コーヒー、温かいのと冷たいの、どっちがいい?」
そう尋ねる大翔君の声は、優しかった。
さっきの事など無かったかのように、いつも通りに接してくれる。
「あ、温かいの……」
私はといえば。
これから彼に話す事を考えたら、自然と声も小さくなっていた。
別れ話を切り出す事が、とてつもなく怖くて。
真吾に電話をした時とは、比べ物にならないぐらいだった。
大好きな人に別れを告げるという事は。
こんなにも怖くて、辛くて、苦しいんだ……。
本革の高そうな黒のソファーに腰を下ろし。
私は、コーヒーを用意してくれている彼を横目で見ていた。
やっと、つき合いだせたのに。
今日が初めてのデートだったのに。
バチが…当たったのかな?
水沢から大翔君を奪い。
真吾を振り回して。
諒斗の想いに、ずっと気付けずにいた。
……自分ばっかり、幸せになれるわけがない。
リビングのドアを開けると。
彼はソファに座ったまま、こっちを見ていた。
「お風呂…ありがとう」
さっきと違う服に身を包んでいる彼に声を掛けると、私はゆっくりと大翔君に近付いて行った。
彼の匂いのするスウェット。
これを身に纏う事は、もう二度とない。
彼の匂いを近くで感じる事も、二度とできなくなるから。
だから、ちゃんと覚えておこう。
彼の匂いも、仕草も、声も。
「そこ、掛けて。コーヒー、温かいのと冷たいの、どっちがいい?」
そう尋ねる大翔君の声は、優しかった。
さっきの事など無かったかのように、いつも通りに接してくれる。
「あ、温かいの……」
私はといえば。
これから彼に話す事を考えたら、自然と声も小さくなっていた。
別れ話を切り出す事が、とてつもなく怖くて。
真吾に電話をした時とは、比べ物にならないぐらいだった。
大好きな人に別れを告げるという事は。
こんなにも怖くて、辛くて、苦しいんだ……。
本革の高そうな黒のソファーに腰を下ろし。
私は、コーヒーを用意してくれている彼を横目で見ていた。
やっと、つき合いだせたのに。
今日が初めてのデートだったのに。
バチが…当たったのかな?
水沢から大翔君を奪い。
真吾を振り回して。
諒斗の想いに、ずっと気付けずにいた。
……自分ばっかり、幸せになれるわけがない。