揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「由佳……?何、言ってんの?」


信じられないといった感じの、彼の声。


大丈夫。

今日の私の演技は…冴えてるらしい。


「だって、友達に恥ずかしくて言えないじゃん。小学生とつき合ってます、なんて」


そう言って、私はわざと笑ってみせた。


これで彼が私を嫌ったのなら、それは仕方ない。

諒斗に抱かれた事を知られるより…何倍もマシだ。


「今更…何言ってんだよ?そんなの、つき合う前から分かってたよね?それでもいいって言ってくれたんじゃなかったの?」


完全に、怒ってる。

満更でもないじゃん。


これで私も…立派な嘘つきだ。


「年下の彼氏って、興味あったんだよね。でも、ちょっと下過ぎたみたい」


視線は、相変わらず小刻みに揺れているコーヒーに向けたまま。

彼がどんな顔してるかなんて、とてもじゃないけど見れなくて。


「遊び…だったって事?」


ほんの少し冷たくなった、彼の口調。

その声に、私の胸が更に締め付けられる。


このままだと、ホントに嫌われてしまうかもしれない。


「今頃…分かった?やっぱり、まだまだ子供だね」


涙が零れてしまいそうになるのを、乾いた笑いを浮かべる事で何とか堪える。


泣いちゃダメだ。

泣いたら…全てが嘘だってバレてしまう。
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