揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……小学生じゃダメなら、俺が中学生だったらいいわけ?じゃあ、あと1年待ってよ。そしたら……」


「しつこいよっ!!」


大翔君の訴えかける言葉を、私は荒げた声で遮った。


これ以上…心が持ちそうにないよ。


「もう、いい加減別れてよ……」


カップを戻し、立ち上がろうと腰を浮かした瞬間だった。


大翔君が…いきなり私を抱きしめてきた。


一瞬の事で、よける事もできずに。

私は…そのまま抱きすくめられてしまった。


右の頬に、彼の頭が触れている。

右の腕に、彼の胸が触れている。

左の腕に、彼の両手が触れている。


動けるわけが…なかった。


軽い、金縛り。

力を入れたら、きっと簡単に振りほどけるんだろう。


だけど…彼の香りが、吐息が、ぬくもりが。

ずっとこのままでいたい、って思わせてくる。


流されちゃ…ダメだ。


わずかに残っている理性が、そう訴えかけてくる。

ちゃんと別れを告げろ、と責め立てる。


「離して……」


「嫌だ」


更に、強く抱きしめられる。

わずかだけど、彼の体が震えている気がした。


こんなひどい仕打ちをしてるのに、引き止めようとしてくれるの……?


こんな私を…必要としてくれてるの?
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