揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「遊びでも、いいよ」


耳元で囁かれる、言葉。

震えている、彼の声。


呼吸の仕方が…分からなくなってくる。

息苦しくて、たまらない。


「こっちが、嫌なんだってば」


うまく…言えてるだろうか?

ちゃんと、突き離せてる?


「じゃあ、どうしたら一緒にいてくれる?」


「……もう、いい加減にしてっ」


私は、出せる限りの力で彼の腕を振りほどいた。


「由佳……」


これ以上は、もう無理だよ。

一緒にいればいるほど、どんどん別れづらくなる。


「この服、借りてくね。明日克也に持たせるから、洗濯してる服はアイツに預けて」


それだけ言うと、私はそのまま玄関に向かって歩き出した。

後ろを振り返らないで、どんどんと歩いて行く。


彼は、私の事を追っては来なかった。


終わったんだ、私達。

苦労して、やっとつき合えるようになったのに。


あっけない、幕切れ。


2人の間を断ち切るように。

重い玄関の扉が、今バタンと閉まった。


サヨナラ、大翔君。


サヨナラ……。
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