揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
第2理科室は、北棟の3階の端の方にある。
教室がある中棟とは渡り廊下で繋がっているものの、用が無ければわざわざ来る人もいない。
という事で、今この辺りにいるのは私と諒斗だけ。
何か…嫌なシチュエーション。
そんな事を思いながら、アイツの後ろを黙々とついて行った。
理科室に入ると、薬品の独特な香りが鼻についた。
それに顔をしかめながら、私は器具の保管してある棚へと向かう。
「試験管3本ずつと、ビーカーは1つずつ。三角フラスコとアルコールランプもな」
少し離れたところで、諒斗はメモを読み上げていく。
アイツは、薬品棚の前にいて。
言われた物を、私はどんどん棚から班の分だけ出していった。
「試験管立てと、石綿付き金網もいるよね」
確か、メモに書いてあったのを思い出した。
ただ、試験管立てが上の方の棚にあるから、背伸びをしても微妙に届かなくて。
「もうちょい……」
頑張ってつま先立ちをして手を伸ばすけれど、触れそうで触れなくて。
「チビが無理すんなよ」
背後から声がして、気付くと私の手のはるか上に諒斗の手があった。
そのまま、班の数だけ試験管立てを取っていく。
「チビって、これでも160あるんだからっ」
「俺からしたら、十分チビだよ」
そりゃあ、180ある諒斗にしたら私はチビだろうけど。
でも、そんなやり取りは…いつもと何ら変わりないように思えて。
ほんの少しだけ、ホッとした。
お礼、言いそびれちゃったな。
わざわざ、取りに来てくれたのに。
そう、思っていた時だった。
諒斗の両腕が…私を後ろから抱きしめてきた。
教室がある中棟とは渡り廊下で繋がっているものの、用が無ければわざわざ来る人もいない。
という事で、今この辺りにいるのは私と諒斗だけ。
何か…嫌なシチュエーション。
そんな事を思いながら、アイツの後ろを黙々とついて行った。
理科室に入ると、薬品の独特な香りが鼻についた。
それに顔をしかめながら、私は器具の保管してある棚へと向かう。
「試験管3本ずつと、ビーカーは1つずつ。三角フラスコとアルコールランプもな」
少し離れたところで、諒斗はメモを読み上げていく。
アイツは、薬品棚の前にいて。
言われた物を、私はどんどん棚から班の分だけ出していった。
「試験管立てと、石綿付き金網もいるよね」
確か、メモに書いてあったのを思い出した。
ただ、試験管立てが上の方の棚にあるから、背伸びをしても微妙に届かなくて。
「もうちょい……」
頑張ってつま先立ちをして手を伸ばすけれど、触れそうで触れなくて。
「チビが無理すんなよ」
背後から声がして、気付くと私の手のはるか上に諒斗の手があった。
そのまま、班の数だけ試験管立てを取っていく。
「チビって、これでも160あるんだからっ」
「俺からしたら、十分チビだよ」
そりゃあ、180ある諒斗にしたら私はチビだろうけど。
でも、そんなやり取りは…いつもと何ら変わりないように思えて。
ほんの少しだけ、ホッとした。
お礼、言いそびれちゃったな。
わざわざ、取りに来てくれたのに。
そう、思っていた時だった。
諒斗の両腕が…私を後ろから抱きしめてきた。