揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「俺の事…怖いか?」


耳元で囁かれる、アイツの声。

大翔君とは違って声変わりの済んでいる諒斗の声は、低くて大人の男って感じがして。


変に…ドキドキしてくる。


「そ、そりゃあ……」


体が強張ってしまって、うまく動けない。


そのうちに、朝練をしてきた諒斗の汗の匂いが漂ってきた。

大翔君とは違う、男って感じの匂い。


違う……。

私が抱きしめられたいのは、諒斗じゃない。


私の体が、意識が、そう訴えてくる。


「あのガキに…言ったのかよ?俺とシたって」


その言葉に、胸がドキンッとなる。


大翔君の事を想うだけで、私の体はこんなに反応している。

体が火照り、脈が速くなり、息が苦しくなる。


「言え…ないよ」


「内緒にしたまま、つき合っていくのかよ?」


唇が耳たぶに触れそうな距離。

嫌な感覚で、背筋がゾクッとする。


「別…れたから」


早く、離れたい。


諒斗が、ホントに怖かった。


このまま…また何かされてしまうんじゃないか、と不安がよぎる。


「別れた?あのガキと別れたのか?」


驚く諒斗に、とりあえず頷き返す。


早く離して欲しい。

今は、ただそれだけだった。


だけど…それは、逆効果だったらしい。
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