揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
ブルーな気持ちを引きずったまま、私は家へと着いた。


「ただいまぁ」


玄関を開けると、ちょうど克也が二階に上がるところだったみたいで。


「あっ、姉ちゃんちょうど良かった。友達来てんだけどさ、母さんいないからお菓子とかジュース持って来てよ」


そう言われれば、玄関に男の子の靴がたくさん散らばっている。


「……一体何人来てんのよ?」


この靴を並べ直すのかと思うと、ため息が出た。


「5~6人かな?今日部活なくなったから、野球部の奴らが来てんの」


野球部!?

思わず、唾を飲み込んだ。


もしかして、もしかしたら大翔君も……?

でも、克也にそんな事訊けるわけがなくて。


「う、うん分かった。すぐ持って行くから」


はやる気持ちを頑張って抑え、私は平静を装った。


落ち着け、由佳。

まだ大翔君がいるって決まった訳じゃないからっ。


違ったら、ショック大きいし。

いないと思わなきゃ。


大翔君はいない、大翔君はいない……。


心の中で呟きながら、まずはみんなの靴を揃え直した。

もしかしたら、大翔君の靴もあるかもしれないし。


……って、私のバカっ。

いないと思わなきゃって決めたばっかじゃん。


とりあえず台所に行き、椅子の上に鞄を置いた。

冷蔵庫からコーラのペットボトルを出し、コップを念のため7つ用意する。


お菓子は、お母さんが克也に見つからないようにと隠している食器棚から取り出した。

ポテチとポッキー。


育ち盛りが揃ってたら足りないかなぁと思い、おせんべいの袋も追加する。
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