揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「そういえば、明日母さん取材で泊まりって知ってた?」


急に思い出したように、克也が言った。


「聞いてない、けど」


「そっか。……とりあえず、明日の夜ご飯は姉ちゃん作ってよ」


「分かった」


私がそう答えると、克也はランドセルと制帽を手にしていた。


「とにかく、何かあったら俺に言ってよ?俺が2人の仲を取り持ったんだからさ」


「うん、ありがと」


克也の気持ちは、ホントに嬉しかった。


でも…こんな事、誰にも言えないよ。

沙希にだって、言うのがためらわれてるんだから。


諒斗に、無理矢理犯されただなんて……。


「ほんじゃ、ご飯になったら声掛けるわ」


そして、克也は部屋を出て行った。


ごめんね、克。

こんなお姉ちゃんで、ホントごめん……。


閉まったドアに目を向けたまま。

これ以上涙を零さないように、私は下唇を噛みしめた。
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