揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
さぁ…行こうか。


全てを大きめのお盆に載せ、ゆっくりと歩き出した。


お盆の上が重たいし、割れ物があるっていう事もあるけれど。

緊張してるからか、自然と足取りがゆっくりになっていく。


階段を昇りながら、入る時のセリフを考えていた。


『いらっしゃい。今日は雨で残念だったね』


これが無難かな?


なんて思っていると、もう克也の部屋の前まで来てしまっていた。

このドアの向こうに大翔君がいるかもって思ったら、かなり緊張してくる。


ふぅーっ。


深呼吸を1つ。

そして、塞がった両手の代わりに声をかけようとしたその時だった。


「こんにちは」


急に後ろから声を掛けられ、かなりびっくりして。

思わず、手を放しそうになってしまった。


足音したっけ……?


そんな事を考えながら、誰だろう?と首だけを後ろに向けた。


すると、そこにいたのは……大翔君本人だった。
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