揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「時間…いいですか?」


一応、相手は年上なわけだから。

様々な感情を押し殺し、俺は下手に出た。


「……ダメって言っても、無駄だろ?」


「まぁ、そうですけど」


たくさんの乗客が、俺達の横を通り過ぎていく。


高校生・大学生・社会人。

何事かと、横目で俺達の事をチラチラと見ていく。


「場所、変えようぜ」


そう言って、諒斗はゆっくりと歩き出した。


スポーツバッグを肩から掛け、ポケットに手をつっこんだまま。

俺は、そんな彼の後ろ姿を眺めながら歩いていた。


180ぐらいある長身に、無駄な肉の付いてなさそうな締まった体つき。


この体が…強引に由佳を抱こうとしたのか。


そう考えると、冷静でいられなくなりそうだった。


「ここでいいよな?」


そう言ってアイツが連れてきたのは、駅からさほど遠くないこじんまりとした公園。

日がまだ高いという事もあって、子供や母親達の姿がまだたくさん見られる。


「とりあえず、座ろうぜ?」


遊具の横の、ちょっとしたグランド。

そこにあるベンチに、俺達は腰掛ける事にした。
< 264 / 298 >

この作品をシェア

pagetop