揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「てっきり、由佳は真吾とヤってるもんだって思ってたからさ。初めてだったって言われて、内心焦ったよ。でも…チャンスだって気付いたんだ。俺が初めての男なら、アイツは俺とつき合うんじゃないか?って」


まるで、遠い昔話をするかのような諒斗の表情。

懐かしいような、悲しいような。


「それで、自分が由佳を抱いたって事にしたってわけ?」


「まぁ、そんなとこだ」


「あんたのせいで、由佳は苦しんだんだよっ。あんなにキスマーク付けられて、おまけにそんなシーツ見て。誰だって、無理矢理抱かれたって思うさ。もう二度と…由佳に触れるな」


「何で…お前なんだろうな?俺でも真吾でもなくて」


「そんなの……」


そう言うと、俺はゆっくりとベンチから腰を上げた。

分かり切った事を尋ねるアイツを見下ろし、軽く溜息を一つ吐く。


「そんなの、俺が運命の相手だからに決まってんじゃん?」


そう告げると、俺はそのまま来た道を戻りかけて。

ふと大切な事を思い出し、慌てて踵を返した。


「……?」


どうしたんだ?って感じで俺を見上げている諒斗の左頬を。

俺は、右手の拳で思い切り殴った。


不意を衝かれたのか。

何の抵抗もなく、アイツはそのままベンチから崩れ落ちた。


「とりあえず、由佳の代わり。ホントはもう一発殴りたいけど、これで我慢しとくよ」


地面に倒れ込んだまま俺を見てくるアイツに背を向け、俺は今度こそ公園を後にしようと歩き出した。

俺らの様子を見ていた子供や保護者の視線を無視して、ひたすら歩みを進める。


一刻も早く、この事を由佳に伝えてあげたかった。
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