揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……入らないんですか?」


つい大翔君に見とれてしまって、すっかり動きが止まっている私を。

彼は、不思議そうに見返してきた。


「あ、うん、入るよっ」


とりあえず、慌ててそう答えると。

私の手元を見て納得したのか、大翔君が代わりにドアを開けてくれた。


「あ、姉ちゃんサンキュ」


開いたドアの正面にいた克也が、ベッドから立ち上がってお盆を取りに来た。


「大翔、トイレ分かった?」


「あぁ、サンキュ」


私の後ろにいた大翔君に気付き、克也が声を掛ける。


トイレに行ってたから、後ろから来たんだ……。

うちのトイレは1階にあるから、私が台所で用意してる間に行ってたんだろうな。


「由佳さん、この間学校来てたよね?」


克也の幼稚園からの友達の雅志(まさし)君が、カードゲームを手にしながらそう尋ねてきた。


「え?い、いつ?」


覗き疑惑の話題かと、焦ってしまい。

やましい事のある私は、ついどもってしまった。


ちらっと大翔君を見たら、黙ったまま私の方を見ていて。


う、嬉しいけど、今は視線が痛いよ……。
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