揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「もう一つだけ、確認させて?」


「……何?」


唇を離し、近い距離のまま彼は尋ねてきた。

だけど私は何の話か分からなくて、素直に訊き返した。


「由佳の初めての相手って、もしかして諒斗って奴?」


不意打ちの質問に、まさかの正解。


何て言えばいいのか分からなくて、しばらく言葉が出なかった。


そうだよって認めたら、大翔君はどうするんだろう?

諒斗の所に行ったりするのかな?


反対に、違うよって言ったら。

他の誰かの名前を聞くまで、納得しないんだろうか?


「元彼は、そんな事しなさそうだし。諒斗は由佳の事好きっぽかったから、そうかなって思ったんだ」


私の沈黙は、どうやら肯定に取られていたようで。

でも、今更それを否定する事もできない。


「途中で…気を失っちゃったの。壁に頭をぶつけて。だから、どうやって抱かれたのか分からないけど、気が付いたら裸で寝てて……」


もう、認めるしかなかった。

後は誤解が無いように、きちんと聞いて欲しかった。


決して、私が抱かれたがっていたわけじゃないという事を。


「でも、それじゃあ処女じゃなくなったって分からないよね?諒斗が言ったの?最後までシたって」


「言われてないけど、シーツ濡れてたから。その…血もついてたから、きっと私のだろうし」


処女じゃなくなったら、血が出ると聞く。

たぶん、あれは私の血。


「……分かった。ごめん、嫌な事訊いて。でも、これだけは覚えておいて?俺は、由佳が処女だろうがそうじゃなかろうが、そんな事気にしないから。他の奴に抱かれてたとしても、俺は由佳が好きだよ?」


私の気持ちを汲んでくれた彼は、それ以上深く尋ねる事はしなかった。

そして、今の私が欲しかった言葉をちゃんと言ってくれて。


こんな汚れた私を、彼は好きだと言ってくれる。


それが嬉しくて、私はまた涙を流してしまっていた。
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