揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「今日は、よく泣くね」


そう言って大翔君は、私の左頬を伝う涙の粒をペロッと舌で掬い取った。

温かい舌の感触が、何だかくすぐったい。


「だって……」


嬉しいんだよ?


そう言いたいのに、気持ちが高ぶってしまってうまく言葉に出せない。


「まぁ、泣いてる由佳も可愛いけどね」


こんなキザなセリフが似合う小学生も、なかなかいないと思う。

思わず、涙も止まってしまっていた。


「今日はもう帰るけど、1人で平気?」


そう言って、彼は上半身を起こした。

程良く締まった体が、スポーツ選手なんだという事を思い出させる。


この体に、私は抱かれたんだ……。


そう思うと、体の奥がキュンとなって。

さっきまでの彼との行為を思い出し、だんだん恥ずかしくなってきた。


「由佳?聞いてる?」


「えっ!?あっ、な、何っ?」


ヤラシイ彼を思い出していた時に声を掛けられ、動揺してしまった。


聞いてなかったよ……。


「俺もう帰るけど、1人で平気?って聞いたんだけど。何?俺に見とれてた?」


「なっ!?みっ、見とれてなんかないしっっ。それに、子供じゃないんだから1人で平気だよっ」


図星を指され、ムキになって言い返す。

何で、見とれてたってバレたんだろう……?


「子供じゃないから、心配なんだけど。ちゃんと鍵掛けておきなよ?」


そう言うと、床の上に落ちていたTシャツを拾い。

彼は、さっと身に付けた。


「うん、ありがとね」


私に背を向けて身支度を整えていく彼を見ていて、ふっと心に1つの疑問が浮かんだ。
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