揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「そうだ。1つだけ、ルール決めていい?」


私の心中を知ってか知らずか、彼は明るくそう言った。


「ルール?」


「そう。俺と由佳の間のルール」


「いいけど…何?」


どんな事を言われるのかと身構えていたけれど、彼から告げられたのは意外な言葉だった。


「2人の時は、俺の事『大翔』って呼んで?」


「2人の時は……?」


「そう。他の人がいる前では【君】付けして、2人の時は呼び捨てして?」


普通は恋人だって事を皆に知らせる為に、他の人の前でも呼び捨てにするんじゃないの?

呼び捨てし合うような、特別な仲なんだって事を。


……もしかして!?


「みんなに…知られたくない?私とつき合ってるって事」


だって、そういう事だよね?

こんな5つも上の女子高生とつき合ってるって、知られたくないからだよね……?


なのに、それを聞いていた大翔君は急に声を出して笑い始めた。


「違う、違う。そうじゃなくてさ。俺らの事を知らない人の前で由佳が俺の事呼び捨てにしたら、俺って…弟に思われない?」


「弟……?」


「そう。だって、克也の事『克也』って呼ぶよね?俺とアイツは同い年なわけだし。弟に…見られそうでさ」


まさか大翔君がそんな事を気にしてるだなんて、思いもしなかった。


年の差なんて、関係ないのかと思ってた。

気にしてるのは、私だけなのかな?って。
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