揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「ホントは土日デートしたいとこなんだけど、市の公式戦が始まるんだ。土曜の試合に勝ったら、日曜の決勝リーグに進めるから」


彼の言葉を聞きながら、私は身支度を整えていた。


つき合いだして最初の週末は、もう明後日に迫っていて。

デートは…しばらくお預けかな?


「土曜日、わざと負けよっか?」


彼らしくない、言葉。

本心じゃなくて、私の反応を…試してる?


「そういうの、大翔君が一番嫌なんじゃないの?」


八百長試合。

勝負にも野球の世界にも厳しい彼では、それはあり得ない話。


……な事に、早く気付くべきだった。


「ほら、脱いで」


「へ?な、何…あぁっっ!!」


「もっとシたかったんなら、早く言ってよ?」


笑顔でそんな意地悪を言う彼の策略に、まんまとハマってしまったらしい。


『大翔君』って言っちゃったよ、私……。


「せっかく、着たとこなのにね」


そう言ってニヤニヤしながら私を見ている彼は、完璧Sなんじゃないかと思ってしまう。


「つ、次からにしてっ?」


「ルールでしょ?」


「ホントにっっ?」


「ホント」


「……」


「……ほら、早く」


そう言って急かす彼に、頬を膨らませてとりあえず抵抗して見せる。
< 275 / 298 >

この作品をシェア

pagetop