揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
そして、黒のキャミソールに手を掛けた時だった。


「姉ちゃんっ、母さん帰って来たからっっ」


階段の下から、救世主のような克也の声が聞こえてきた。


た、助かったぁ……。


「ざーんねん、今日はここまでだね」


そう言って立ち上がると、大翔君はゆっくりと私に近付いて来た。


「別に、残念じゃないからっっ」


脱ぎたくて脱いだわけじゃないんだしっ。


拗ね気味に答えると。

急に抱きしめられて…唇を塞がれた。


激しく舌を絡ませてくる彼に体はしっかり抱かれていて、逃れられそうにない。


まぁ、逃げるつもりもないんだけど。

何せこの格好だから、恥ずかしくて。


「聞いてんの!?姉ちゃんっっ」


再び、階下から克也の声がする。

返事の無い私に苛立ってるのが、ここでもよく分かる。


「んんっ、んんっっ」


慌てて唇を離そうともがくけれど、彼は何故だか離してくれなくて。


返事しないと、克也が変に思って上がって来ちゃうじゃんっっ!

こんな恰好見られたら、変に誤解されそうだし。


「克也に見られたら、恥ずかしい?」


ふいに唇を離し、意地悪そうに笑いながら彼はそう尋ねてきた。


「は、恥ずかしいに決まってるじゃんっっ」


「教えてあげたら?克也に。俺達は、こういう仲なんだって」


そう言ったかと思うと、いきなり私のキャミソールをさっと上に脱がせてしまって。

その早技になす術もなく、私はすっかり上も下も下着だけになってしまった。


「やだっ、何するのっっ!?」


慌ててキャミを取り返そうとしたのに、彼はそれをベッドの上に投げてしまった。


「……意地悪ぅ」


私の位置からは、手を伸ばしても届くはずもなくて。
< 287 / 298 >

この作品をシェア

pagetop