揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……エロ小学生」


呆れたようにそう呟き、私は床に落ちていたスカートを履き直した。


「駅のそばの『アルタイル』、行ってみない?」


その名前は、私も知ってる。

すっごくお洒落な感じの…ラブホだ。


「しょ、小学生が何言ってるのよっ!?」


「だって、由佳と行ってみたいし。お金は、お年玉が取ってあるから大丈夫だよ」


『お年玉』って辺りが小学生っぽいんだけど、使い道がおかしい気がするのは気のせい?


「お金の問題じゃなくてさ……」


説明する気にもなれず、私はそのまま長袖Tシャツを着直した。


「好きな人とそういうコトするのに、何か問題あるの?」


拗ねたように言うから、不覚にも何だかキュンってしてしまって。

このまま、彼の言う事に流されそうになってくる。


「いや、それ自体が問題じゃなくって、年齢が問題なんじゃないの?」


流されないように気を付けながら、私は彼にそう問い返した。


「小学生はダメだって書いてあるの?」


「それは分かんないけど…常識で言ったら、行かないよね?普通」


「別に、普通じゃなくていいけど?」


……なんだか、彼には勝てないような気がしてきた。


ある意味、自分の気持ちに純粋すぎるから。

変に5つも年を取ってる分、私は世間体とか常識とかに囚われてしまっているのかもしれない。


「俺は由佳を好きだし、由佳も好きだって言ってくれたよね?そしたら、別に何も問題無いんじゃないの?」


「うっ、うん……」


「なら、ホームラン打ったらご褒美ね。夕方、着替えたら行こ?」


明日、もし彼がホームランを打ったなら。

私達の初デートは、ラブホになりそうです……。


それって、どうなの!?ホントにっっ!
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