揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
結局、あれからすぐにお母さんが帰って来て。

私は、夕飯の支度を手伝う事になった。


台所にこもってる間に、どうやら野球部連中は帰ってしまったようで。


もう一目会いたかったなぁなんて、がっくり肩を落としてしまった。










でも、会えて話せただけでも十分幸せだった私は。

一晩経った今でさえ、顔がにやけてしまう。


「気持ち悪りぃぞ、由佳」


物理の授業中。

いつもはしかめっ面のはずの私がにやけているのを見て、ぼそっと諒斗が呟いた。


「え?何か言ったぁ?」


ついつい、デレッとしてしまう。


遠くで見る事しか出来なかった人と、至近距離で会えて。

しかも会話までしちゃったんだから、嬉しいに決まってるよね。


「今日は、朝からずっとこんなんよ」


沙希が振り向いて、諒斗に向かって囁いてる。

でも、私は別にどうでも良かった。


だって、嬉しいものは仕方ないじゃん。


「昨日あんなに沈んでたのに?なんか最近起伏が激しいな」


不思議そうに見てくる諒斗に、笑顔で手を振ってみる。


なのに、あいつときたら……。


「沙希、保健室連れてけよ」


だって。

ホント、女心の分かんない奴!
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