揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「そういや由佳、明日って暇?」


思い出したように、諒斗がそう言った。


明日は、土曜日。

別に予定はなかったはず。


「たぶん暇だよ。何で?」


「明日さ、うちの学校で練習試合あんだよ。良かったら見に来ねぇ?」


「バスケの?諒斗も出るの?」


「俺もだけど、真吾(しんご)…高崎が出るからさ、観に来てやれよ」


そういう事か……。


高崎君、別に嫌いじゃないんだけど。

友達以上にはなれないような気がするんだ。


「あのさ、諒斗……」


観に行ったら、変に期待させちゃうかも。


そう思ったら、やっぱり行かない方がいい気がしてきて。

でも……。


「友達なら、応援に来てもおかしくないだろ?」


先に、そう言われてしまった。

まるで、私の心を読んでいたかのように。


「……あ、沙希は?」


縋るように、沙希の背中をつついてみる。

振り向いた彼女は話を聞いていたらしく、


「私、明日バイト入ってるし」


と、即答されてしまった。


一人で行くのかぁ……。


そう考えると、少し気が重い。


「2年でレギュラー張ってんの、俺らだけなんだぜ。せっかくだから、来いよ」


何で、そんな命令口調なんだろうか。

ムカツクんだけど、断る理由が見つからない。


結局、練習試合を観に行くことになってしまった……。
< 31 / 298 >

この作品をシェア

pagetop