揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
ついつい、見とれてしまう。


真剣な眼差しで白球を追いかける、彼の姿に。

5つも下だという事を忘れるぐらい。


「お前ら、そんなんで明日の試合勝てると思ってるのか!?」


監督の大きな声が、私の所にまで届いてきた。


え!?明日の試合?


思わず、反応してしまっていた。


試合、すっごく見たいんだけど……。

克也に訊いて、こっそり観に行っちゃおうかな。


あ……。

そういえば、忘れてた。


明日は、バスケの試合観に行くんだっけ。

向こうは10時からって言ってたけど、野球は何時からかなぁ……?


大翔君の試合が見たい。

応援、したいなぁ。


ついでに、克也も。


そんなことを考えながら、私はまた大翔君に視線を向けた。


そうしたら、いつのまにか。

いつのまにか……。


水沢っ!!


休憩に入った部員達に、何故だかタオルなんか配ってる。

みんなは当たり前のように受け取って、彼女と何やら楽しそうに話してるみたいで。


なんか、やけに溶け込んでない?


そう、恨めしそうに見ていた時だった。


「姉ちゃん……?」


いつの間にいたのか、私の視線とは逆の方から克也の声がした。
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