揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「か、克っ!?」


声の方を見ると、訝しげな顔で私を見ている弟の姿があった。


やばい……。


「やっぱり、覗きしてんじゃん」


その声の感じからして、どうも呆れられてるようで。

何だか、どうにもバツが悪い。


「だから、覗きじゃなくて見学だってばっ」


慌てて、否定してみるものの。

克也の疑いの眼差しに、やましさから胸が痛んでくる。


私の下心、見透かされてる……?


「そんなに、弟の練習が見たいわけ?」


「はぁ!?」


そんなわけないし!

あんたの事なんて、ちらっとしか見てないからっ。


「恥ずかしいからさぁ、さっさと帰ってよ」


「弟のくせに生意気っ」


「とにかく、みんなに見られたら嫌だし。水沢に見つかったらまたうるさいから」


そうだ、水沢っ!


「あの子、なんであんな野球部に溶け込んでんの?タオルまで配って……」


「え?だって、マネージャーだし」


「マ、マネージャー!?」


小学校の部活でマネージャーがいるの!?

私らの頃は、そんなの無かったけど。
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