揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「だからタオル配ってんの。ほら、帰って帰って」


そう促してくる克也を無視して、私は水沢の姿を探した。

すると、大翔君と楽しそうに話をしている。


なんか…かわいいじゃん。


不覚にも、そう思ってしまった。


やっぱり、好きな人と一緒にいると自然とかわいくなるんだろうな。

大翔君も、楽しそうに笑ってるし。


誰もが認める、お似合いの2人。


そんな風に思えてくる。

そうやって考えたら、なんだか無性に悲しくなってきて。


「……帰るわ」


見てるのが辛くなってきて、私はフェンスから離れた。


「え?あ、うん」


急にそう言ったからか、克也は驚いてた。

不思議そうな顔で、こっちを見てくる。


「練習、頑張りなよ」


そう声を掛け、私は小学校を後にした。
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