揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤

chapter4

「今日、練習試合だから」


次の日の朝。

8時過ぎに下に降りて行くと、先に朝食を食べていた克也がいきなりそう言ってきて。


「……だから、何?」


突然の事でどう答えていいか分からず、そんな憎まれ口を叩いてしまった。


「いや、昨日言い忘れててさ。ほら、試合だったら堂々と見れんじゃん」


克也なりに、気を使ってるのかもしれない。

昨日『帰れ』って私に言った事を気にしてるのかも。


意外とかわいいとこあるじゃん。


「別に…見たい訳じゃないし。学校帰りにたまたま通るから、のぞ…見学してるだけだよ」


素直に喜べない自分がもどかしかった。

純粋に弟の活躍を見るだけだったら、私はきっと何のためらいもなく試合に行くって答えるはず。


だけど、私の目的は別にあるから……。

後ろめたいだけに、素直に『行きたい』って言い出せない。


「お父さん達も応援に行くぞ?由佳も一緒にどうだ?」


テレビのニュースに目を向けていたお父さんが、助け船を出してくれた。


土曜で仕事が休みだから、お父さんも行くらしい。

もちろん、お母さんも行くだろうし。


「まぁ…お父さんがそこまで言うなら、行ってもいいけど」


あくまでも、誘われたからってトコを強調して答える。


お父さん、ナイスっ。
< 37 / 298 >

この作品をシェア

pagetop