揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「何だよそれ?……まぁ、いいや。11時からだから、遅れんなよ」


「えっ?11時……?」


だって、バスケの試合は10時から。

高校から小学校までなんて、どうやっても30分以上はかかる。


絶対、間に合わないじゃん……。


「何?用事でもあるの?」


私の朝食を用意してくれていたお母さんが、心配そうに訊いてきた。


「うん……。友達のバスケの応援しに行く約束しちゃってて」


「そっちは何時からなの?」


「10時からうちの学校でやるの。11時は無理だよ……」


ショックが大きすぎる……。

どっちが見たいって、野球の試合の方が断然見たいのに!


「試合は大体1時間半だからさ、バスケ終わってからでも最後ぐらい間に合うんじゃねぇ?」


克也の言葉で、私はざっと計算していた。

バスケが1時間ぐらいだとして、そっからダッシュで帰れば、11時半ぐらいには着ける。


まぁ、1時間見れればいいかも。


「分かった。バスケ終わったら、駆けつけるから」


せっかく堂々と大翔君を見れるチャンスだもん。

これは駆けつけなきゃ。


って、彼の事諦めようとしてなかったっけ?私……。


と、とりあえず今日は克也の応援だから。

大翔君の為じゃないしっ。


言い訳がましいと思いつつ、気持ちをごまかすようにパンにかぶりついた。


11時まで…あと2時間40分。
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